ジャガード縮絨_財産 8

2019.10.30

店では縮絨について色んな意見をもらう。あの時のあれよりもああだとかこうだどか、こんなの僕は縫うの嫌だ、ワクワクするだとか、なんかドキドキするだとか、何も言わずに立ちすくんでいる方とか、、いずれにしてもこの生地に取り組めた事、形に出来た事は大袈裟に言うと奇跡だと思えてならない。平面(生地)が立体(服)になって、人が袖を通してそれについて語り合い、それを通してなんらかの会話が生まれる。それだけでもうこの生地は生まれた価値があった、良かった。私にはまだ奇跡だったけれど、いつかこの瞬間を超えてもっともっと新たな何かを生み出せたらいいなと思えた。みんなの意見は何よりの財産だ。一生この生地と共にこの会話を忘れる事は無いだろうと思う。

ジャガード縮絨_救世主 7

2019.10.27

別れがあると不思議と次の出会いがある。もう駄目かなぁ、せっかくここまできたのに、織った生地はストールにするしかないかなぁ、うだうだと考える日々が少し続いた。そんなある日、ウチにやらせて下さいとお声がけしてもらえた。そこは某有名ブランドの縮絨も手掛けた事があり、新しくスタッフが入ったから動ける様になりました、という事だった。藁にもすがる思いでお願いすることにした。本当に不思議なものだ、神様が見ているのか、なんとかなる、なんとかなっていくもんだと安堵した。どんな時も努力を惜しまずコツコツ努力している人を神様は放っておかない。お店を始める前に母が言った言葉を思い出した。

ジャガード縮絨_案の定 6

2019.10.27

なんとかサンプルまではこぎ着けた。本生産は絶対に出来ません、と断られ、それを縫ってもらえる所を探す事になる。一着目のサンプルはベストで試した。かなりの縮みに、加工場、縫製職人、生地職人、皆がこの先に不安を募らせた。サンプルを縫ってくれた職人さんに「一点一点こんなに手が込んでいるものを、私以外の人には無理だと思いますよ。」と言われた。それでも縫ってもらえない、、悔しさと怒りで言葉が出てこなかった。その職人さんに向けてではなく、私の無力さに、情けなくなった。それと同時に、絶対絶対良いもの作ってやる、絶対この縮絨を他所でだって成功させてみせる、と思った。

ジャガード縮絨_まだまだ続く 5

2019.10.27

織り上がったら、急に恐怖が湧いてきた。かなりあまく(柔らかく)織ったので縮みは無限。なおかつ、下手にみえる生地をどう料理するか、はたしてこれをいつもの職人さんが縫う事ができるのだろうか。

ジャガード縮絨_無駄な事など何も無い 4

2019.10.27

この生地を創る事に関わる全ての人達が、試行錯誤を繰り返し、挑戦に伴う不安を共有し、子どもの遊びみたいに楽しんで、最後には各々の想像を超えるものが出来上がってきた。誰もが腹の底の興奮を隠しきれず、この喜びを今すぐ伝えたいと思ったくらいのハプニングが起きた。はじめから、この企画自体が成功するのかどうか、関わる人全てが予測不可能だった。それでも我を忘れて取り組んだ結果、最初の不安がやがて興奮へと変化し、奇跡が生まれたと言っても過言ではない。ここまでみんなが夢中になってやったんだから、失敗したって失敗にならないだろうという確信だけはあった。

ジャガード縮絨_感謝 3

2019.10.24

「水谷さん、凄いのが出来上がりました。」機屋さんから電話が入り、「あまりの嬉しさで思わず電話してしまいました。」と大の大人がえらく興奮した口調だった。その時、その空気がこちらにも伝わって、電話口でばれない様にぐっと涙をこらえていた。これが2019年7月の話。 つづく

ジャガード縮絨_きっかけ 2

2019.10.24

こんなのが作れたら最高です、と手書きの生地イメージをお渡しした。2018年冬からアニ・アルバースに大きな影響を受け、今もまだその渦中だ。私のリクエストはいつも周りを困らせる。不可能なのではないかと皆が思う。今回もまた、お店をオープンしたばかりで貯金がない私に、挑戦する事を惜しまず薦めて下さり、共に挑戦しようと言って下さったメンバーに感謝しかない。より良いものを作っていこう、残していこう、その為に挑戦していこうという気持ちを共感し、今までやった事の無い事へ挑んでくれたチームに心から脱帽している。

ジャガード縮絨_2019AWの挑戦 1

2019.10.24

手織りのような、でも手織りじゃない、失敗したみたいな、でも失敗じゃない生地。ションヘル織機で織れたら、それを更に縮絨してみたいと想像していた。

洋服と人格

2019.10.15

近年ユニセックスの洋服が増え、サイズで悩む方達の救世的洋服が登場し、幅の広がった方がいる反面、本来の洋服に備わる素質や性格みたいなものが失われ、欲しい服がなくなったという人が増えたのも事実。男と女と体型が全く違うのに効率よく洋服を作り流通させるために、安易な物が溢れかえっている。男のためのもの、女のためのもの、ものづくりの内側には、ちゃんと心して作らないといけない。洋服は人格を作る。作り手はそれを意識した上で取り組まないといけないし、買い手は都合よく作られたものや、都合よくくっつけられた宣伝に、気と体を許してはいけない。

自然なこと

2019.09.07

流行っていても流行っていなくても、出会うか出会わないかなだけ。純粋な心でその瞬間に向き合えると良いなぁと思う。その為に出来ることがある気がする。流行や何かを受け入れないのではなく、心から素敵だと思えることに集中するってことだけなんじゃないかな。やがて自然にそれが個性となって現れていくんじゃないかな。

こころの赴くままに。