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教養とは。 わからないけど、身につけた人になりたい。漠然と思っていました。 先日テレビ番組のゲストで出演していた俳優の本木雅弘さんが、お悔やみのニュースが流れた後に自分の紹介となり、 「そういうことのしめやかな雨模様だったんでしょうかね」と挨拶を始めました。 悲しいとか、寂しいとかの言葉を使わずに悼む表現ができるのだと知りました。 うまくいえないけど、こういうことが教養なのかなと思ったのです。

”教養がある人ってこういう人”っていうのは直感でわかります。 共通しているのはユーモアがあって、ホスピタリティに溢れていて、オープンマインド。 偉そうに英語を並べてしまった。面白くて、思いやりがいっぱいで、懐が深い。 憧れます。

どうやったらなれるのか。 ずっと考えていたことを人に話したことはなかったのですが、ありがたいことに面白い本を教えてもらいました。 『世界でいちばんやさしい教養の教科書』 教えてくれた人は、マーケティングや自己啓発の本にややアレルギーのあった私に面白さを教えてくれて、今ではそのコーナーとコミックコーナーが書店での主戦場になりつつあります。 まんまとハマりました。 その人が次は…と教えてくれたのが教養の本だったのです。 最初は歴史から始まるので、好き嫌いがあるかもしれませんと言われたのですが、歴史は大好物です。 高校の世界史の授業で教科書のギリシャの建造物を見ると魂がアテネにトリップしておりました。前世はギリシャ人だったんだと思っているくらいなので大丈夫。

「はじめに」に書いてあった本書から得られる効果に目が釘付けでした。 先人の思考や思想から「知」と「思考の枠組み」が得られる/目の前の事象に自分なりの「解釈」ができるようになる/自分なりの解釈をもとに新たな「アイデア」が生み出せるようになる 頭が単純なので、もうワクワクです。すぐできる気になるのが悪い癖です。 これから自分の知らないことに出会ったときに深く理解するために、理解の前提となる「背景知識」=教養がより高度な知を獲得するための武器になる、と。 そう思うとなんだか怖いものがなくなる感じです。

あ、そういえば私が思う教養のある人たちは、知らないこと・困難なことをとても楽しんで取り組みます。 きっと持っている背景知識を使って理解しようとし、もし難しいようであれば新たに知識を得る行動をして…とやり方を知っているのだとこの本を読んで気づきました。

歴史、哲学、言語、心理、文化、経済、社会、日本、芸術に章が分かれています。 章の最後に用語説明があって、それがまたわかりやすくて、別の本を読むときも役に立ちます。

哲学の章に、ヘーゲルの弁証法がありました。 相反する二つの主張であるテーゼとアンチテーゼを統合し、よりよい結論であるジンテーゼを導くこと。この弁証法を繰り返すことで自己も社会も進歩して、より高い次元へ発展することができると唱えたものです。 そして高い次元で統一することを止揚といい、ドイツ語ではアウフヘーベンといいます。 うっわー、いいなーと思って手帳に書き留めました。 アウフヘーベンしていきたい。

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