先日4年ぶりくらいにお店で久々の再会を果たしました。
Dhalはダイレクトに作って届ける、自分がお店に立ちながらお店に来てくれる人とブランドを育てていく、そこでしか生まれないものづくりをというのでスタートを切りました。最初はパートさんが週に2日くらい、ほとんどを自分でやりくりしていました。(とはいえ、はい、できていなかったです)その頃は岐阜県大垣市から高速で1時間半かけてお店に通っていました。今思えばよくやれていたなぁと思います。周りからは、大変だから名古屋に引っ越しておいで!と良く言われていました。それでも夕方の大垣方面へ向かう高速道路から押し寄せる山の峰々を包む夕焼けを見ながら帰宅するのが、週の何日かの贅沢でもありました。1年近く頑張りましたが、古い車が悲鳴を上げて、引っ越しを余儀なくされました。今はお店から数分のところに住んでいます。あっ、ちょっと昔を思い出してしまいました。
話を戻しますと、オープン当初、ほぼ一人でお店をやっていた頃、彼はお店の門を叩いてくれたのです。緊張していたなぁ、私も彼も。2018年の秋です。随分と若い感じの子がお店に来てくれたなぁ、嬉しいなぁ、数少ないメンズを気に入ってくれるだろうか、その当時は半年で4型くらいしか作っておりませんでしたので、(自分では気に入ってはいるけれど、)こんな型数の少ない中で選んでいただくのは申し訳ないなぁという気持ちもありました。彼がそのシーズン、Dhalでは初となるウール縮絨のシリーズを買ってくれた時は、本当に嬉しかったなぁ。なんの後ろ盾もなく、宣伝もできず、前職からの顧客さま情報なども全て会社においてきましたし、彼には信用も何も無く、そんなお店の知らない年上の女性からお買い物をするんですから、度胸がある子だったなぁと思います。そしてそれから彼は、お店に来るたび、お店を応援してくれるかのようにお店に来ては何か買ってくれました。随分年下だし、欲しいものいっぱいあっただろうし、お金も有り余るほどではなかったであろう若者が、7坪のお店の数枚の中から選んでくれることは、Dhalのブランドとしても、お店としても大きな支えとなっているなぁと心底思っておりました。大垣まで帰る車中では、ブルーハーツを聴きながら嬉し涙で景色が霞んだこともありました。
そうこうして1年2年が経ち、私も少し忙しくなってきて、新しくスタッフも入り、洋服を作る量も少しずつですが増えてきて、新作発表の日にはお店に人が入り切らないくらいになりました。寒空の中歩道でジャケットの接客をさせていただいた事もありました。そして悪夢のような現実、社会はコロナ騒動で大変なことに、Dhalもまさかの一時閉店、その時何かできることはないかと始めたのが通販。みんなに会えない日が続いて、寂しい、でもとにかくそれしかみんなと繋がることはできないというので始めたウナギのウー子とカラスのカー子、通販でもお店に来てもらっている感覚を味わって欲しいと小話を通販サイトに載せることにしました。不安もいっぱいでしたが、みんなが画面の向こうで「何これ?笑」 と食らいついてくれているのを想像して、毎日救われました。当然その時会えなかった子の一人です。彼は出会った当時まだ働き始めて間もない頃の歳で、その彼が先日4年ぶりにお店で会えた時には結婚もし、子供が2人、仕事も変わらず頑張っています、と。子供を連れてきてくれたのですが、しっかりとパパもしていていて、なんともいえない幸福感で見ていました。「この生地、Dhalの真骨頂だなぁと思ってこの間来た時買ったんですよ。」と言ってくれました。じーんとしました、泣いてしまいそうでした。出会って、会えなくなる時もあって、色んなことがあって、生活環境も変わって、それでもまた律儀にお店に来てくれて、、本当にありがとう。また頑張ろう、またこの人たちを唸(うな)らせるものを作ろう、そう思ったのです。
人と人が本気で繋がる。なかなかそんなこと生きていて無いのかもしれない。でも、やっぱりお店っていうのはそういう場所でありたい。離れていても、この服着てまた頑張ろうと思ってもらえる、どこかで支えになれるお店でありたい、彼に久々に会えて当たり前ではないその時間をあらためて噛み締めました。
staff M
@dhal_column