年末年始に、エーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読み返しました。時代が少し前の本なので、今の価値観や当たり前からは少し離れているな、と感じるところも少々ありますが、それを加味しても読むたびに目に留まる箇所が違って、何度読んでも「読み終わった!」と思えない本です。今回も時間をかけて読んだ割に、人にその内容を説明できない。どんな本かと聞かれてもうまく答えられない。けれど人との関わりの中で、エゴが強くなったり、自他の境界が薄くなってしまったりしたらいつでも開きたい、そんな本です。ちなみにフロムは「愛は技術」と言っています。能動的な愛と受動的な愛についての解説も、はじめて読んだ時は目から鱗でした。
相変わらず本が増えています。フロムを読み返すのに一ケ月近くかかったくせに、その間に数冊買い込んでいます。数日前にも「伊藤野枝集」が欲しくなって購入。あと、おととい発表された芥川賞受賞作も読みたいです。小説はあまり手に取らないのですが、安堂ホセさんがラジオでお話されているのを聞いて読みたい気持ちになっています。岸政彦さんの「調査する人生」も、荻上チキさんの新刊「みらいめがね3」も出ているのに買えていない。あと少し前にAさんが紹介していた「メランコリーで生きてみる」も読みたい。どうせ読むから全部買ってもいいのだけれど、今、あまりにも読めていない本が多すぎて、本棚がここ数年で一番混乱期。基本的に個人書店で本を買うのですが、行くと絶対に買ってしまうから我慢しています。本が増えて管理できないのなら、図書館で借りるなり、電子書籍にするなりしたらいいと思うのだけれど、手元に置きたい性分。よくラジオやPodcastを聞くのですが、好きな書き手の人が私の心を掬う言葉を発するなどした日には、その人の本を読む読まないに関わらず本屋に買いに行きます。私にとっての推し活です。著者にお礼としての課金。こういう感じなので、本は増える一方です。
本好きの人、どうしているのでしょうか。読みたい本は、探さずしてもどんどん増えています。私の場合、前職の時に本を読む時間が足りなくなって契約を変えてもらった経験があります。けれど、時間を作ると新しい本の情報が入る時間も出来るわけで、積読解消とはなりませんでした。これは私の仮説なのですが、どれだけ時間を作ろうと、その時間は埋まってしまうのではないでしょうか。作った余白は、いつも意図していないもので埋まる。それはだいたい楽しいことに繋がるので、読書云々関わらず、いつも余白を作る意識は今年もしていきたい所存です。
気になるトピックはどんどん増えていきます。分からないからと放置していることを、放置しないようにしたい。関連の本を買って満足しないようにしたい。今年は、暮らしの中のタイムマネジメントをちゃんとしたいです。こう決めておかないと、私はすぐに猫とだらけるから(これは猫がかわいすぎるのも要因です)。
さて、2025年最初に買ったのは、スタジオプレパさんのティーポット。持ち手はあけびにしました。私だけで選ぶとステンレスになりそうなのですが、何となく近しい人何人かにどっちがいいと思うか聞いてみたら思いのほかあけびが多数派でした。自分を貫くのもかっこいいけれど、何となく他者の意をくんでみたくなった年始。今まで家で飲むのは珈琲か水だったのが、お茶を楽しむ時間が出来ました。水分摂取量も増えて、体にも良さそうです。
どんな一年にするかを毎年年明けに手帳に書きだします。毎年変わらないのは、本を読むことと学びをやめないこと。先日ある人に、「ずっと考えている人、ちゃんと寝られているか心配なレベル」と言われました(瞑想をして無になる時間を作らないとラメ、とも)。それでも私はずっと考えているのだと思います。ちゃんと余白を作るためのティータイムは、意識的に作っていきたいです。
今年もどうぞよろしくお願いします。
最近読んだ本
・愛するということ/エーリッヒ・フロム
・離婚って、ふしあわせ?/シスターフッド書店Kanin編
最近買った本
・世界の適切な保存/永井玲衣
・戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ/清田隆之
・伊藤野枝集/森まゆみ編
staff T
@ke_hare_embroidery